社交ダンス・競技ダンスは一つのフロアで複数のカップルがそれぞれ違ったステップを踊ります。


一組しかフロアにいなければ当然他の人とはぶつかりませんね。みんながみんな同じステップを踊っていれば避けるのは簡単かも。でも、現実はフロアで他のカップルがたくさんいる中で踊る場合がほとんどです。


初心者カップルの場合「ステップを覚えて、フロアを一周できるようになりました。やったー!」と思ったのも束の間、フロアにもう1組カップルがいるだけで上手く踊れなくなる、という事はよくあります。社交ダンスは自分とパートナーが音楽に合わせて正しく動ければOK!…ではなく、他のカップルがいる中でうまくかわしつつ踊り続けるスキルが必要です。


フロアを上手く巡るための技術を専門用語で『フロアクラフト』といいます。


ちなみに「フロアは分かるけど、クラフトってどういう意味なの?」と思った方…いません?私、気になって調べました。


クラフトという言葉は工芸品や美術品といったイメージがありますが、クラフトと元々の意味は「技術」だったそうです。なるほどー!やはり技術だったのね。そして後に、職人の巧みな技術から生み出された作品を示すようになったそうです。


『フロアクラフト=混んでいるフロアでもスイスイ踊れる匠の技!』ということですね。…なんだかハードル高そうですね。笑


実はそれなりにダンス歴が長くても他のカップルを避けられない人は結構います。避けることが苦手だと他のカップルと進路が重なるたびにぶつかりそうになり、踊りを中断することになります。中には見えているのに他のカップルにぶつかって行ってしまう人も…(←コレはダメ!マナー違反!!)


ほとんどの場合、ちょっと回転量や進む角度を変えることで相手をかわすことができます。


避けるのに慣れていない人はどのステップで何をどれくらい変えるか、という選択肢の種類がそもそも少ないのでどうしたらいいか困ってしまいます。そこでまずは色々な選択肢を知る必要があります。いつもの進路がふさがれたときにどんな選択肢があるのか、というのを知っておくと男性は安心だし、女性も男性がどう動くか予測しやすくなりますね。


初心者カップルに教えるとしたら下記のような感じです。


例えばワルツ。
立ち位置を決めて曲を聞きながら準備動作をしてさぁいよいよナチュラルターン!というときに、目の前に他のカップルが来た!どうやって避けますか?壁側に避ける?それとも中央よりにいく?歩幅を広げる?小さくする?


カップルだったら、リーダーさんにどうするか質問します。どうすればいいか困っているようなら「この場合は壁側に避けるのがおすすめ」「この場合はなるべく大きく進んで避けるのがおすすめ」などいくつかおすすめの方法を伝授。そしてその伝授したものを実践します。


パターン1
回転量を上げていつもより壁側へ
これを数回練習。

パターン2
歩幅を広げて追い越す
これを数回練習。

といった感じでひとまず2パターンくらい。最初はどれをやるかパートナーに宣言して踊ります。


次は口に出さずにどちらをやるかリーダーさんに選んでもらいます。パートナーさんには何を選んだか知らせずに踊ります。だいたい最初はパートナーさんがついてこれないので数回実践。それでも通じにくいようなら踊り方を少し指導。


これでナチュラルターンの3歩は大丈夫。はい、じゃあ次はスピンターン、このときどうする?はい、その次はリバースターン、ホイスク、シャッセ…と一通りやります。


ステップ毎にできるようになったらつなげて練習します。ひとつのステップの進路を変えたらその後のステップにも当然影響が出ます。避けたら逆LODに入ってしまった、次のステップの入れ替わりができなかった、フロアにステップが入りきらなくなった、など様々なトラブルが起きます。


上手くフロアを回れなかったときは「今のケースはどうやったら上手く回れたか?」と聞いてみます。やりたいアイデアはあるけど上手く実現できなかったのか、そもそも対処方法が浮かばなかったのかを確認。アイデアがあるけど上手くできない場合は、踊り方を修正。対処方法が分からない場合はまたおすすめの方法をいくつか伝授。


対処方法をいくつか覚えると「今回の場合はコレが使えそう」「今はコレかな?」と自分達で応用して考えることができるようになります。しかしコレではまだ不十分。どの選択肢がいいか考えることができるようになっても、音楽に合わせつつ上手く進路を取るにはすばやく判断して実践しないといけません。初心者の方の場合、最初はすばやく決断するのが難しいようです。そういう場合は選択肢をこちらで2つまで絞ってどちらかをその場で選んで踊ってもらう、を繰り返します。決断の練習です。意外とコレが効果的で、決めるのことに慣れてくると音楽にも合ってきます。


こういった踊りながら進路を決める練習がある程度できるようになったら、進路を邪魔されながら1曲踊りこみをしてもらいます。そうして苦手な部分を極力減らしてから競技会やダンスパーティーに行くと本番、人とぶつかって全然踊れなかった…ということがかなり減るので初心者カップル、リーダーがデビューするときにはこの練習をするようにしています。


このフロアクラフト練習は上級者でももちろん必要です。ラテンのバリエーションステップを踊る場合は女性も進路を決めることがあるので、リーダーと同じことができなければいけないし、先ほどは角度や歩幅、回転量で調節といいましたが使用するステップをその都度変えたりもします。使用ステップの変更は難しいので初心者の方にはオススメしませんが、コレができると動きの大きさを損なうことなくフロアの大きさやそのとき状況に合わせて踊ることができるので習得できるとステキですね。



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